相関詞とは、共通の語形に基づく疑問詞・指示詞・量化詞などを体系的に整理した語群です。これらは意味と語形が対応した 5 × 9 のマトリクスに分類できます。
学習上のアドバイス:一度にすべてを覚えるのは難しいため、ビンゴのマスを埋めるように一語ずつ理解していきましょう。すると、ある日突然、オセロの石が一気に裏返るように全体像が見えてくるはずです。
- 各語は、表の縦軸(意味カテゴリ)と横軸(用法の種別)を組み合わせて分類されます。例:tio は「事柄の指示に用いる代名詞」、neniom は「数量の不存在を表す副詞」です。
「存在」と「不定」について
- 「存在」欄にある語は、具体的に何かを指さないものの、何らかの存在を前提とする語です(例:io 何か、iu 誰か、iuj ある人々)。
- なお、英語文法でいう “不定” には「存在」「全称」「不存在」がすべて含まれるため、混乱を避けるためにここでは「存在」という語を採用しています。
~u で終わる語(個物)
- 品詞としては形容詞ですが、しばしば名詞の省略形として使われます。例:iu homo → iu(誰か)、iu afero → iu (なにか)。
- 意味:物事の中で特定の個別の対象を示す語。具体的な文脈で「これ」「あれ」などを指すときに用います。
例:ne tiu ĉi, sed tiu roboto(これではなく、あのロボット)
tiu afero(そのこと)、tiu kazo(その場合)
~o で終わる語(事柄)
- 品詞は名詞。形容詞的用法はありません。
- 複数形もありません。
- 意味:対象を指すが、他のものとの対比を特に意識しない場合に用います。
例:目の前に一つしかないものを指すとき、または多数の中の一つ一つに個別性を感じないとき。
比較例
- Kio estas tio?(あれは何?):種別そのものを尋ねる
- Kio estas tiu besto? (あれは何の動物ですか?):動物の種を尋ねる
- 類例:De kiu speco estas tiu besto?
- 比較せよ:Kia besto estas tio?(それはどんな動物ですか?):動物の種の特徴を尋ねる
- Kiu estas tiu?(あれは何?):個体を特定する
- Kiu estas tiu besto?(あの動物は何ですか?):種を尋ねるより個体を尋ねたい場合
kia と kiel
- kia は性質を尋ねる形容詞、kiel は様態を尋ねる副詞。
- 意味が重なる場面も多く、口語では kiel が多用されがち。
例:Kia vi estas?(あなたはどんな人?)=Kiel vi estas?
副詞の形容詞化
ĉi の用法(近接指示)
- tiu ĉi または ĉi tiu のように、ti- で始まる語に付きます。
- 前置・後置どちらでも意味は変わらず、語感やリズムの好みで選びます。
ajn の用法
1. 無差別強調
- ĉi-, i-, neni- に続けて使用:
- ĉiu ajn(誰でも)
- iu ajn(どんな人でも)
- nenio ajn(何ひとつ)
- 例文:
- Ĉiam ajn vi estas bonvena ĉe mi. (いつ来たって歓迎だ)
- Mi konsentas akcepti ian ajn pagon. (どんな報酬でもお引き受けするつもりです)
- Nenion ajn mi diros. (絶対に口を割らない)
2. 譲歩(やや形式的)
- ki- で始まる語とともに:
- kiam ajn(いつとなろうとも)
- kie ajn(どことなろうとも)
- kiel ajn(いかなる手段様態となろうとも)
- kio ajn (何であろうとも)
- 例文:Mi donis solenan promeson, ke mi silentos, ĝis mi revenos, kiam ajn tio ĉi fariĝos. (帰るのがいつになろうともそれまでは黙っていると、厳かな約束をした)
- 💡 英語では: whenever, whatever... などには 1(無差別)と 2(譲歩)の区別はありません。
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