言語の品詞の大分類には一般的に、「閉じたクラス」と「開いたクラス」とがあります。
閉じたクラスとは、新しい単語がめったに増えない品詞です。閉じたクラスの語彙は言語の構造を支える語彙です。語形は1~3音節と短く、語彙の数も少なく数百にとどまります。
一方、「開いたクラス」とは、新しい単語が刻々と増える品詞です。開いたクラスは語彙数が多く、文学や教育のさかんな言語では辞書上で数十万語にもなります。母語話者が理解している単語数は3~4万前後です。
日本語でいえば、閉じたクラスは助詞(に、を、は…)、助動詞(ます、させる、ない、です…)、形式名詞(こと、の、わけ、はず…)、指示代名詞(これ、そこ)、疑問代名詞(なに、どれ…)などが該当します。これらの品詞に新語が出ることはほとんどありません。一方、開いたクラスは、たとえば名詞はどの言語でも新語がたくさん生まれます。日本語の人称代名詞は、名詞と同じように増えるので開いたクラスです。そのほか、形容動詞も語彙が増えやすくなっており、開いたクラスです。形容詞は新語ができにくく、閉じたクラスに近いと言うべきかもしれません。
エスペラントではどうでしょう。エスペラントの閉じたクラスは「機能語」あるいは「語尾なし語」とよびます。
機能語はおよそ200語あり、それ自体が文の構造を示すので、語尾はありません。
開いたクラスには名詞、形容詞と派生副詞、動詞があります。開いたクラスは語彙が多く、増えるため、品詞を識別する品詞語尾がついています。
エスペラントで使う実際の語彙数は少なく、550語で会話の80%がカバーできます。一般的な言語で同じ割合を理解するのに2000語以上が必要です。エスペラントでは学習すべき単語の量は通常の4倍も少なく、だれにとっても学びやすいことがわかります。
それでは単語が少なく表現力が足りないかというとそうではなく、もっともよく使われるエス・エス辞書 Plena Ilustrita Vortaroには46,890語が収録され、エスペラント日本語辞典第2版は43,817語、エスペラント現代用語集はさらに12,000表現を補っており、高い表現力があります。エスペラントには何巻にも及ぶような大辞典はありませんが、それは必要がないからです。英語では『オックスフォード英語大辞典』全10巻が41万語、日本語では『日本国語大辞典』第二版全13巻が50万語を載せていますが、エスペラントの345件の書籍に対する統計では(文法語尾の違いによるバリエーションを除き)異なり語36万1653語が実際に使われ、これらは高々16,570の語根の組み合わせから成り立っていることがわかっています。
名詞語尾 | -o |
---|---|
形容詞語尾 | -a |
副詞語尾 | -e |
動詞語尾 | -i |
上の表で、動詞語尾は不定詞の語尾 -i を代表として示しました。不定詞は辞書の見出しの語形にも使われています。
不定詞は文の主たる動詞(述語)には使えません。以下の動詞語尾を使います。
現在形 | -as | 現実に | 起きていること、随時起こることを示す |
---|---|---|---|
過去形 | -is | 起きたことを示す | |
未来形 | -os | 起きることを示す | |
仮定形 | -us | 現実には起こりえないであろうことを示す | |
命令形 | -u | 現実に起こしてほしいことを示す |
参考までに:正確に細かく分類するならば、現在形・過去形・未来形は直説法に分類され、それぞれ現在時制、過去時制、未来時制といいます。仮定形は仮定法、命令形は命令法です。
仮定形 -us は婉曲依頼表現(このようなお願いをしてよいかわからないのですが)に使うこともできます。
命令形 -u の動詞も主語を取ることができます。そのため、英語では let を使う表現の多くが命令法で済みます。英語では接続法を使う場合でもエスペラントでは命令法を使います。主語がviの場合には主語が省略できます。
【未稿】
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